三菱重工パワーインダストリー POWER of Solution

interview

ラストマンの誇りを胸にお客様に寄り添ったホームドクターに 品質保証総括部 運転技術部 次長 濱田博紀インタビュー

2023/2/14

三菱重工パワーインダストリーにはさまざまな角度からお客様に関わるスペシャリスト達がいます。お客様の期待を超える働きをして満足して頂く。その強い意志を胸に日々奮闘するメンバー達へ、仕事にかける想いについてインタビューするシリーズ企画。第六回は営業から受け継いだバトンの最後の最後を担うラストマン、運転技術部 濱田博紀次長。プラントが実際に稼働している状態をもっとも長く多く見ているという自負を胸に、ラストマンの重責を果たすその想いを聞きました。

広く浅く知見を持ち問題は絶対に見逃さない

――お仕事内容を教えてください。

濱田:産業用をメインに事業用も含めたボイラやタービンの据付状態に問題が無く安全に設備が運転できているか、又、計画性能を満足しているか等の確認を行うのが運転技術部の仕事です。ボイラにはさまざまな機器やバルブがあります。それら一つひとつが正しく図面通りに据付されているかどうか動きを確認します。また、何か異常が発生した時に保護装置が働いて自動で安全に運転が停止するかどうかも確認します。そして安全に運転できるという判断がなされた上で点火作業を行います。点火後は最初から100%の負荷をかけてはいけませんので段階を踏んで一歩一歩確実に、各種調整を行いながら、計画最大負荷まで持って行きます。そこまでの作業をすべて終えるまでにだいたい4~5カ月程かかります。最後にお客様に満足していただいて無事引き渡しができて帰路に着く車中は最高の気分です。営業が受注してから設計、建設とバトンが渡り最後の最後にラストマンとしてお客様に満足していただくという大役のプレッシャーは大変なものですが、「やり切った」という満足感で仕事を終える喜びがあります。

品質保証総括部 運転技術部 次長 濱田博紀

――ラストマンとして大切なことは何でしょうか?

濱田:安全にボイラが運転できるように、どんな些細なことも見逃さないことでしょうか。図面だけでは分からない、できてみて初めて現場で分かる問題があります。また、問題なく運転しているように見えても長年の経験により「何かがおかしい」と感じることがあります。そこを見逃さず徹底的に調査し解決します。私たちが長年行ってきた業務の中でたくさんのトラブル事例が蓄積しています。新しいボイラの試運転業務を行う前には必ずそれらの中から類似案件の周知を全員で行いトラブル事例を共有します。共通して使える事例もあれば、お客様によって燃料もご要望もさまざまですので、ケースバイケースで色々な問題が発生します。そんな時にはそれぞれにスペシャリストに確認をとり助言を仰ぎます。我々は広く浅く知識を持ち、異常を絶対に見逃さないということが何よりのミッションだと思います。

他社機器であってもフォローアップしお客様の不安に応える

――発電設備のすべて知識をたとえ浅くでも持つというのは大変な事のように感じますが、それは一般的なことなのでしょうか?

濱田:プラントは複合して連動し稼働していますから、「これだけ見ていればいい」ということはなく包括的に見ることが大切です。海外で仕事をした時にお客様が「ここはどうなっている?」と納入した海外メーカーの現地担当者にたずねたら「そこは自分たちの仕事じゃない」と断られて「なんとか助けてください」と私に相談された事がありました。海外メーカーの方たちは10数人の大所帯で私は1人だったのですが(笑)、問題を突き止めて解決できた時に大変感謝されたことを覚えています。もちろん、私一人で解決したわけではなく「ここが原因かもしれない」と思ったことを社内の知見者に相談して問題を解消することができました。そういう連携力も含めた知識を持つということが大切です。最初からすべてできるわけではありません。先輩について徐々に経験を増やしていき皆が同じスキルを持てるように、あらゆる案件を部内で資料として共有し、一つのプロジェクトが終わった時は必ず反省会を行っています。

品質保証総括部 運転技術部 次長 濱田博紀

――自社の機器じゃなくても対応されるのでしょうか?

濱田:そういうこともあります。以前、プラントを納めて稼働が始まったら給水ポンプに異物が多く出てくると相談されたことがありました。ボイラを稼働させるのに必要な水はお客様の設備から供給されているのですが、そこに何らかの不具合があるのではないかと推察されたのです。原因を突き止めて解決しないとボイラ自体に異物が蓄積されてしまいます。ボイラには細いチューブがたくさんありますので、そこが詰まってしまいかねません。このポンプは私たちが設置した機器ではありませんでしたが、その原因を突き止めて解決へと導きました。私たちはエンジニアリング企業としての誇りがあります。約5か月間、日々お客様と接する中で日頃から感じられていた不安や問題視していた事があればそれを共有していただいて解決したいのです。お客様に「こんなところまで見てくれるのですね」と仰っていただくと、win-winの関係を築くことができたなと嬉しくなります。

地球に優しい発電設備の普及に努めたい

――お客様にとってどんな存在でありたいですか?

濱田:我が社では“ホームドクター”といいますが、まさにホームドクターのようにお客様に寄り添い困りごと等をしっかりとキャッチアップできる存在でありたいと思います。さらにお客様自身が気づかれていない問題も見逃さずに、点として起こった事象も先送りすることなく適切に判断をして対応できるようにする。そうすることで信頼が得られ安心して任せられると信じていただけると思うのです。また、お客様が安全に運転し続けられるように、点検や試運転を行いながらお客様へ教育も行います。その際に設計が作成したマニュアルだけではなく、実際に操作する上で分かりやすいように簡単に行えるように運転する立場に立った操作説明書も私たちが作ります。プラントが実際に動いている現場を一番見ているのは私たちですから、その自負と自覚を持ってお客様からも社内の人間からも信頼して相談してもらえるようにありたいと思っています。

品質保証総括部 運転技術部 次長 濱田博紀

――最後に、どんな社会を目指して業務にあたっていらっしゃるか教えてください。

濱田:地球に優しい社会を、我々が提案する技術力をもって実現できればと思っています。産業用ボイラは企業がモノづくりを行う中で出た廃棄物を燃料にしていることが多いです。それをただゴミとして捨ててしまえば燃やすためのエネルギー負荷が発生するだけですが、エネルギーとして燃やせばそれだけエネルギーを回収することができます。さらに燃焼した時に出るCO₂も、三菱重工グループの製品であるCO₂回収装置(三菱重工エンジニアリング所管製品)を当社が納めるプラントに適用することによって削減していくことが可能です。また、バイオマス以外にも地熱発電などの環境に優しい発電設備を広げていきたいと思っています。これからもラストマンという誇りを持って、お客様に寄り添ったホームドクターでありたいと思います。

プロフィール

品質保証総括部 運転技術部 次長 濱田 博紀(はまだ ひろき) 関内勤務

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