2023-03-2
再生可能エネルギーによる発電は化石燃料を用いた電力に対しコストが高く、日本での導入は大型水力発電、小規模地熱発電を除けば、比較的限定された範囲にとどまっていました。しかし、カーボンフリー政策のもとに再生可能エネルギーを利用して発電した電力を一定期間、在来エネルギーよりも有利な価格で買い取る「再生可能エネルギー固定価格買取制度」(FIT制度)が2012年に開始され、これを受けて日本国内でも導入が進んでいます。
FIT制度導入以降、日本国内における再生可能エネルギー利用が推進されてきましたが、以下の理由から木質系バイオマス発電に注目が集まっています。
以上の注目される点を考慮して、三菱重工パワーインダストリーでは標準化した製品ラインナップだけではなく、お客様のニーズに沿った設計・製作・プラント運用サポート等を実施しています。
FIT制度を活用した木質系バイオマス発電事業を経済性の面から評価する場合、事業期間中の総売電売上げが、資本費(設備投資費用)、燃料代、運転維持費と3項目の合計を上回り、どの程度の収益を見込むことができるかを検証しなければいけません。三菱重工パワーインダストリーでは、木質系バイオマス発電事業が成立しやすくなるように下記を実現するための発電設備の設計・製作を行っています。
2022年度及び2023年度とFIT制度も大きく様変わりする事になります。(図1、表1を参照下さい。) 三菱重工パワーインダストリーでは、FIT制度当初からの顧客ニーズに合わせ、クラス毎の標準化を実施しています。
これらの4種類の設備について、ボイラ、タービン、発電機、補機類を組み合わせた図2に示すような発電設備パッケージとしてボイラ構造、補機類、設備配置をそれぞれ標準化しました。
上記のような標準型式以外にも、今後のFIT要求に合わせた余熱利用を考慮したもの、顧客要求に合わせた発電設備等にも対応可能です。また、発電だけではなく、余熱利用も考慮したトータルエネルギーバランスを最適化し、CO2削減に貢献できる設備を提供いたします。
バイオマスを燃料として使用する場合、化石燃料(石炭、石油、ガス)と比較して、状態や形状、そして発熱量や水分といった燃料性状の変動が大きくなります。また、集積時に土や釘といった不燃物が混入する場合もあります。図3にバイオマスの外観と性状の例を示します。
流動媒体である砂の層に空気を適度な流速で吹き込むと、砂が液体のような挙動を示します。流動層を加熱し、この中にバイオマスを投入して600~800℃の温度で燃焼させるのが流動層燃焼です。投入された固形燃料は流動層内で比較的短時間に燃焼を完結できます。また、燃焼温度が低いため、発生するNOx が低いという特徴があります。さらに、不燃物は流動化した砂の中を自重で沈むので炉底から取り出すことが可能です。
三菱重工パワーインダストリーは木質系バイオマス発電設備の普及にむけて今まで重要視されていた「発電効率」だけでなく、「エネルギー利用率」「CO2発生量低減、抑制」を重視した設備提案を実施いたします。
併せて、地域活性化をサポートする事で、SGDsにも貢献できる設備を提案して参ります。
出典:
経済産業省ウェブサイト(https://www.meti.go.jp/press/2021/03/20220325006/20220325006.html)
資源エネルギー庁ウェブサイト
(https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/community/dl/20220316_fit.pdf)
『MHPS-IDS技報VOL.2』より
参考文献 :
再生可能エネルギー固定価格買取制度ガイドブック(2017)/経済産業省 資源エネルギー庁 編
再生可能エネルギー固定価格買取制度ガイドブック 2022年度版/経済産業省 資源エネルギー庁