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産業用火力

第4回女性エンジニア交流会 ― 自分らしいキャリアと職場環境を考える

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2025/10/23

女性エンジニアのキャリアアップと働きやすい環境づくりを目的に、2023年9月よりスタートした「女性エンジニア交流会」。今回は、香川県高松市に本社を構える株式会社タダノさんのご協力のもと、8社*¹から20名の女性エンジニアが集まりました。 本記事では、当日の模様に加えて、三菱重工パワーインダストリーから参加した3名の声をご紹介。多様な視点からの意見を整理し、今後の職場環境づくりに役立つ情報としてお届けします。

写真:最先端技術を体感した株式会社タダノさんのスマート工場とクレーン車を背に、記念撮影

ロールモデル不在が浮き彫りにするキャリア形成の課題

4回目を迎えた本交流会は、2025年9月18、19日の二日間にわたり開催されました。今回の意見交換のテーマは、女性エンジニアとしてのキャリアプランと職場環境です。
キャリアプランについては、「責任ある仕事を任されるようスキルアップを重ねたいが、性別の壁を感じることがある」「結婚や出産後の海外赴任や長期出張に不安がある」「女性エンジニアが少ないため、ロールモデルがいない」「なにかしらの第一号になることが多く、自分の行動が今後の基準となることへの責任を感じる一方、頑張りすぎて後輩の負担にならないかと案じている」といった声が寄せられました。

これらの課題に対し、株式会社タダノさんの社外取締役であり、JAXA 主幹研究開発員として日本ロケット協会「宙女-Sorajo」の運営にも携わる大塚聡子氏から、「ロールモデルは性別にとらわれず、目標となる存在を見つけることが大切」「実際に壁を乗り越えるには、自分のリソースを生かした行動や努力、工夫が必要」といった、実体験に基づくさまざまなアドバイスがありました。育児休業制度が十分に整っていなかった時代を切り拓いてきた大塚氏の言葉は、参加者にとって力強い励みになりました。

大塚聡子氏の話に熱心に耳を傾ける参加者
大塚聡子氏の話に熱心に耳を傾ける参加者

現場環境と作業服改善に向けた意見

職場環境については、次のような意見が出されました。
「仮設トイレや更衣室などの環境改善を要望したいが、個人としてどこまで伝えていいか迷う」
「女性用の仮眠室がないため夜勤ができず、その分、男性に負担をかけてしまう」
「作業服の改善に求めるのは女性らしいデザインではなく、女性エンジニアに適した機能性」
これらの課題は各社に持ち帰り、今後の改善に生かされる予定です。

スマート工場と安全教育から得た示唆

交流会では意見交換のほか、株式会社タダノさんの香西工場と安全道場を視察しました。2019年に完成した香西工場では、AIやIoTを活用した先進的な生産現場に触れ、参加者は大きな刺激を受けていました。
安全道場では、破損工具や人形を用いた災害事例の紹介に加え、VR(Virtual Reality)による危険作業の疑似体験などを通じて、労働災害防止への取り組みを学びました。安全を最優先とする三菱重工パワーインダストリーにとって、有意義な機会となりました。

参加者3名が語る、交流会で得た気づきと成長

資格取得で能力を示し、キャリアを切り拓く

2021年入社、基本設計課 工事計画チーム所属のM.Wさん
2021年入社、基本設計課 工事計画チーム所属のM.Wさん

意見交流会で、機械系の方が電気系の業務に配属されてしまい、後輩と比べ、期待されていないのだと落ち込みながらも、資格を取得したことで評価されたという話を伺いました。機械系の方が電気系の資格を取得するのは大変な挑戦だったと思いますし、「意欲があれば、性別に関係なく評価される」という言葉に強く共感しました。私自身も第三種電気主任技術者の資格取得を目指し、客観的に能力を示していきたいと考えています。

また、ロールモデルがなく、将来に漠然とした不安を抱いていましたが、「子育てや仕事への向き合い方は人それぞれ。不安や焦燥感は誰にでもある」という言葉に勇気づけられました。これからは、不安を払しょくするためにも経験を積み重ね、向上心を持ち続けたいと思います。

将来的には、仕事を任せる判断基準から性別が取り除かれ、能力で評価される職場になるよう、自分なりに少しずつ貢献していきたいです。そして現場の衛生設備(仮設トイレや更衣室など)の向上には引き続き取り組み、女性エンジニアの活躍を後押しする意味でも、許容できないことは勇気を持って伝えていきたいです。

自分の意思でキャリアを選び取れる力を身につける

2024年入社、基本設計課 プラント計画チーム所属のN.Aさん
2024年入社、基本設計課 プラント計画チーム所属のN.Aさん

交流会で、結婚後に社内公募により2年間のドイツ赴任に挑戦した方の話を聞き、キャリアの多様性に感銘を受けました。私は相手のことを優先しがちなのですが、それでもやりたいことを自ら選び取れるだけの自信とスキルを身につけたいと感じました。

「誰かのせいにせず、自分の人生は自分で決めていい」という言葉にも深く共感。新しい制度やツールは、今後も増えていくはずなので、飛躍のチャンスが訪れたときに多くの選択肢を備えておけるよう、今できることを一歩ずつ積み重ねていきたいと考えています。

入社してまだ2年のため、疑問も不満も少なく、やりたい仕事を任せてもらえて充実しています。ただ交流会を経て、少しでも違和感を覚えたら臆せず声を上げたいという気持ちが芽生えました。そして将来、女性が増えたときに「この人に相談したい」と思ってもらえる存在になりたいです。

男性エンジニアとフラットな関係が築ける職場をつくる

2024年入社、電気計装設計課所属のN.Oさん
2024年入社、電気計装設計課所属のN.Oさん

今回の交流会は、自分の置かれている環境を見つめ直すいい機会となりました。
特に印象に残ったのは、海外出張のエピソードです。女性だから危険だと止められそうになった方が、「女性でも行ける根拠」をまとめて上司を説得し、出張を実現させたというお話から、やりたいことがあるなら受け身ではなく、自ら行動する姿勢の重要性を学びました。

また、「自分一人が我慢すればいい」と思わず、改善してほしいことに声を上げるべきという話もありました。私自身、現地出張で仮設トイレに抵抗を感じた際、上司との雑談で何気なく伝えたところ、すぐに掛け合ってくださり改善いただきました。ちょっとした会話でも意見を拾ってもらえたことが嬉しく、今後も声を上げる姿勢を大切にしたいと思いました。

所属部署では女性エンジニアは私一人のため、周囲の気遣いを強く感じています。今後、女性が増えたときには、性別関係なく、誰もが自然に関われる雰囲気を築いていきたいです。

認定制度と今後の取り組み

交流会では、厚生労働省の認定制度である「えるぼし*²」と「くるみん*³」についても意見交換が行われました。認知度はまだ限定的ですが、本交流会を運営する三菱重工パワーインダストリーの事務局は次のように語ります。
「三菱重工パワーインダストリーは、認定をまだ受けていないので、女性が働きやすい職場環境の整備に注力していきます。その第一歩として、交流会でも話題に上がった作業服について、女性エンジニアに配慮した改善を提案しました。さらに会社間の垣根を越えて、いつでも相談できる場として女性エンジニアのLINEグループを立ち上げました」

これらの取り組みを通じて、女性が能力を存分に発揮できる環境を整えることは、組織の多様性を高めます。そうした職場だからこそ、お客様の複雑化する要望に応えるだけでなく、それを上回る斬新なソリューションを生み出せるのだと考えます。

三菱重工パワーインダストリーは、より良い職場づくりを目指して挑戦を続けていきます。

*1:参加企業(五十音順)は次のとおり
株式会社タダノ、太平電業株式会社、株式会社中部プラントサービス、株式会社東京エネシス、西日本プラント工業株式会社、三菱重工業株式会社、三菱重工環境・化学エンジニアリング株式会社、三菱重工パワーインダストリー株式会社
*2:えるぼし認定制度:女性の活躍推進に積極的に取り組む企業に与えられる
*3:くるみん認定制度:「子育てサポート企業」として一定の基準を満たした企業に与えられる

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