エネルギーの脱炭素化が急務であり、その一環として水素を積極的に利用する「水素社会」を構築するための取り組みが進められている。水素社会を実現するためには水素のサプライチェーンを強固に構築する必要があり、その内の水素利用先として発電・送気用ボイラが、経済的で大規模な水素導入が可能であるため有望視されている。
ボイラ燃料としての観点で水素の特徴を捉えると、従来炭化水素燃料と比較して単位体積当たりの発熱量が小さいことが、まず挙げられる。この特徴のため、所定のボイラ入熱量とするには大きな体積流量が必要で、設備規模が大きくなるという課題につながる。また、水素は燃焼温度が高いことが特徴として挙げられる。これはサーマルNOx が多く発生し、大気汚染物質であるNOxの排出濃度が高まるという課題につながる。ボイラでの大規模な水素利用を促すには、これら課題の解決が不可欠である。
そこで本研究では、燃焼試験による実証と数値シミュレーションを用いた技術的なアプローチに取り組み、水素利用の課題を解決する手法を明らかにした。解決手法は実機への適用が可能であり、ボイラへ実装することで、水素社会構築に貢献できるものである。
なお、本論文の詳細な内容を 2023 年度の横浜国立大学大学院の博士論文として公開済であり、本報ではその概要を紹介する。研究内容の詳細および引用した文献は、巻末の参考文献に記載しているので、ご興味のある方はぜひご参照願いたい。
技報 Vol.9 [2025] 技術の開発でカーボンニュートラルに貢献
水素の拡散燃焼における噴射圧力および空気供給方法がNOxへ与える影響
表紙写真:株式会社 町おこしエネルギー殿納 小国町おこしエネルギー地熱発電所
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