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ボイラーにおける水素利用の課題と水素燃焼技術開発最新動向|QA

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ウェビナーの中でいただいたご質問について回答を順次掲載しております。
皆さまの疑問解決の一助となりましたら幸いでございます。

【2025年3月4日開催ウェビナー】
ボイラーにおける水素利用の課題と水素燃焼技術開発最新動向

質問一覧

技術

  • 1現状進捗と今後の展望・配管やバルブ機器の耐用年数はどれぐらいを想定していますか。 ・水素ラインの配管について、材質・接続方法は何か制約がありますか。(材質ならステンレス、接続なら突合せ溶接など)
    ・水素ラインの配管に使用するガスケットの材質には何か制約がありますか。
    ・水素ラインの最高使用圧力・温度はどれぐらいですか。

    耐用年数については、ユーザ様のお考えによりますが、一般的には通常のガス燃料と同様の考えと思われます。
    水素ラインの配管材質やガスケット材質などについては、圧力・温度などの設計条件によって考慮すべき点がありますので、ケース毎に既存設備の流用可否などを確認・検討することとなります。

  • 2現状進捗と今後の展望本日のセミナーで紹介された技術を適用した製品の紹介がなかったのですが、つまり技術開発中であるということでしょうか?

    弊社ではお客様ご要望に沿った設備計画を提案することとしており、製品ラインナップという形でお示しすることはありません。水素燃焼技術開発は完了し、その技術を適用したバーナー計画手法を確立しており、ご提案が可能な段階となっています。

  • 3開発スケジュール混焼率を段階的に上げていく際、混焼率が低い間は圧力900までいかないのではと思いますが、従来の80から上げていくスケジュール感(どの混焼率でどれぐらいかなど)があればご提示ください。

    水素の供給圧力を900kPaGまで高める主たる目的は体積流量の低減(供給設備・配管等サイズ抑制)です。水素混焼率が低い(水素流量が少ない)場合には、圧力を高める必要は無いため、最大容量・900kPaGに対応可能な設備としておけば、低流量(低混焼率)にも対応が可能となります。お客様が希望される運用条件によるところもありますので、計画条件を整理してご相談頂ければと考えます。

  • 4既存ボイラーへの適用(その他設備含む)既納ボイラの燃料転換について客先殿へ提案するときに、御社技術にお願いすることが可能なものかもあわせてご連絡いただければ幸甚です。

    弊社以外のボイラー設備についても、ユーザ様およびメーカ様と協議の上、弊社より製品または技術提供させて頂くことも可能です。

  • 5既存ボイラーへの適用(その他設備含む)石炭焚ボイラにおいて、当面のCO₂削減対策としてまずはガス焚改造し、将来の対策として水素焚を想定した場合、当面のガス焚及び将来の水素に対応したガスバーナとすることは可能?
    (ガス流量調節弁等供給側の改造は当然必要となるかと思いますが)

    石炭や油焚きのボイラーを、将来の水素焚きも想定した設備へと改造し、まずはガス焚きとして運用、段階的に水素を混焼、混焼割合を増加させていき、水素専焼として運用するような計画が可能です。
    今回紹介した900kPaまでの高圧で供給される水素を燃焼させる技術について、この程度の圧力で水素を取り扱う場合は、水素脆化などが懸念される程の高い圧力ではないため、配管などには通常仕様の材質を用いることができます。シール材などいくつかの注意点はありますが、概ね同一の設備にて従来ガスから水素までを取り扱うことができます。なお計器類や調節弁など、一部機器は使用燃料に応じた仕様とする必要があります。

  • 6既存ボイラーへの適用(その他設備含む)新設では問題なく設計できると思いますが、既設ボイラの燃料を水素に転換する場合、いろいろ気になることがあります。
    ・水素と炭素では同じ入熱を得るのに必要な空気量が異なる。そのため水素の混焼率にもよると思うが燃焼ガス量が変化すると対流伝熱部の熱吸収に変化がでて蒸気温度制御、メタル温度がどうなるか。
    (入熱を高位基準で同じとすると水素の方が炭素より理論空気量が少いので空気過剰率を同じにするとガス量が減る。)
    ・排ガス中の水分割合が増加する。そのため排ガス出口の露点が上がるからAH出口ガス温度を上げないと低温エレメントの腐食が発生すると思う。ということは排ガス中水分損失だけでなく、乾ガス損失も増えボイラ効率が下がることになるが、そのあたりはの対策はどのようにするのか?
    ・水素燃焼を行う場合、燃料取り扱い上の安全対策はどのような点を考えているのか?万一漏洩した場合のの対策として、特に元々石炭焚きのように屋内型の場合は天井に抜け穴を作るのか?

    ご希望の混焼率やボイラー負荷など運用方法、既設設備の仕様や状態に応じた、最適な計画を検討させて頂きます。ケースバイケースとなりますが、燃焼設備改造だけではなく、過熱器などの伝熱面積の見直しが必要になる場合や、排ガスダクトの結露対策が必要な場合も考えられます。
    設備が屋外設置の場合には、水素が漏洩しても速やかに周囲に拡散するため、大きな問題とはなりません。LNG等と同様に漏れ対策を適用することとなります。一方、設備が屋内設置の場合には、漏洩した水素を滞留させないような考慮が必要と考えられます。その他安全対策として、水素センサー設置、換気強化、逆火防止策を講じ、また屋内型では天井排気口を設けて水素滞留を防ぐ考慮が求められます。またこれら安全への配慮については、各業界団体にて基準等が制定された場合には、そちらに遵守することとなります。

  • 7既存ボイラーへの適用(その他設備含む)どのくらいの耐用年数(年月)で考えたらよいか
    機器設置や建物内配管の技術基準根拠について。

    耐用年数については、ユーザ様のお考えによりますが、一般的には通常のガス燃料と同様の考えと思われます。また水素を取り扱う設備の技術基準等は、各所で準備が進められている状況と考えます。

  • 8既存ボイラーへの適用(その他設備含む)プランと効率η。

    設備仕様によります。

  • 9既存ボイラーへの適用(その他設備含む)既存の化石燃料(灯油)ボイラーを転用することは現実的に可能か?

    油焚きボイラー、石炭焚きボイラーをガス焚きに燃料転換している事例も多くあり、またそれら燃料を混焼利用している事例もあります。既存ボイラーの仕様により、既存の化石燃料(灯油)からガス、水素への燃料転換が可能な場合があります。

  • 10既存ボイラーへの適用(その他設備含む)当社で使用している小型ボイラー燃料をカーボンニュートラルに向け、2030年までにA重油から都市ガス化へ検討しています。
    今回、水素を使用したボイラーとのことですので、都市ガス化と比較し、どちらが良いか(コスト・安全・CO₂面)分かる範囲で教えていただけると幸いです。

    弊社で紹介する水素燃焼技術は、水素だけではなく都市ガスやそれら混焼にも適用できますので、段階的な燃料転換を計画することが可能です。将来水素を考慮しながら、目下は都市ガス向けとして燃料転換を計画することを提案させて頂いております。

  • 11既存ボイラーへの適用(その他設備含む)・機器の構造において、天然ガス燃焼の場合との具体的な違い
    ・排気が水分だけになる中で、エコノマイザーでの熱利用による腐食の問題などは発生しないのか
    ・アンモニアの状態で運んできたものをクラッキングして水素分を燃焼させるような機器は存在するのか

    具体的な構造についての開示は控えさせて頂きます。
    燃焼排ガス中の水分が増加しますので、後流排ガスダクト等での凝集・腐食への考慮は必要です。適切な温度に保つ、材質を見直す等の検討が必要です。
    水素の製造方法によらず、今回紹介のバーナーでの燃焼利用は可能です。

  • 12既存ボイラーへの適用(その他設備含む)ボイラを構成する各種機器に用いる金属の種類は従前からのものと変わらないのでしょうか?

    燃焼排ガスの成分として従来と大幅に変わることは無いため、従前から変わりません。

  • 13既存ボイラーへの適用(その他設備含む)ガス焚きからの転換工事費用と、燃料転換での燃料費用の増加、CO₂削減量の関係が、知りたい。

    現状ガス焚きから水素を導入する場合には、既存設備を流用できる範囲が広いケースがあり、その場合には燃料転換費用を比較的抑えられると考えられます。
    燃料費用の増加については、水素の価格によります。ウェビナーにおいて資源エネルギー庁にて試算の2040年想定発電コストを示しておりますので、ご参照ください。
    水素混焼割合を高めるほど、燃焼利用時に発生するCO₂は削減されることとなります。

  • 14既存ボイラーへの適用(その他設備含む)燃料の違いによるボイラー効率への影響。
    水素活用における課題(技術的課題、金額的課題)も教えて頂ければ幸いです。

    燃料性状により、燃焼後の排ガス性状や量、温度が変わりボイラーでの熱吸収バランスが変化するため、ボイラー効率への影響も検討する必要があります。
    水素活用においては、水素価格が大きく影響を与えますので、今後の動向を注視する必要があります。

  • 15既存ボイラーへの適用(その他設備含む)稼働実績、能力規模のシリーズ及び価格・納期、設備消耗品、法対応等ご教示下さい。

    前述各所に記載の通り。

  • 16既存ボイラーへの適用(その他設備含む)ウォッベインデックスによる燃焼特性の整理はされないのですか?

    弊社では燃料の性状を明確にし、ボイラーで用いることを念頭に、その性状に最適なバーナーを設計することとしており、ウォッベインデックスを重視した整理はしておりません。混焼利用の際においても、燃料の特性を捉えてそれに応じた形で設計計画が可能であると考えています。

  • 17既存ボイラーへの適用(その他設備含む)水素燃焼の場合、空気過剰率はどのくらいですか?

    上述の通り、ガス燃料の場合には通常1.1以下とされ、水素は良好な燃焼性を示すため、空気比の低減が可能です。

  • 18既存ボイラーへの適用(その他設備含む)水素燃料はイグナイターにも適用可能ですか?

    水素燃料はイグナイター(点火バーナー)にも適用可能です。弊社では、イグナイターにおける水素利用技術の開発にも取り組んでいます。

  • 19既存ボイラーへの適用(その他設備含む)バーナー方式(対向バーナーorコーナーファイアリング)によってバーナーのノズル形状は変わってくるのでしょうか?

    ガスノズルの形状は、バーナー燃焼方式やボイラー火炉構造に応じて最適な形とします。

  • 20既存ボイラーへの適用(その他設備含む)供給圧力の高圧化に関して、水素を高圧化する機械は、従来からある技術で対応可能なのでしょうか?ご教示頂ければ幸甚です。

    水素の昇圧装置は各メーカ様にて販売されています。また、弊社提案の900kPaGという圧力は、一般的には高圧という位置づけではなく、比較的容易に取り扱いが可能なものです。

※いただいたご質問の内、事業及び技術上の機微事項にあたるものについては、どのような質問があったかも含め、記載を差し控えておりますのでご理解賜りますようお願い申し上げます。 なお、具体的な事業構想・案件をお持ちの上でのご質問の場合には、お問い合わせフォームから個別にお問い合わせいただきますようお願い申し上げます。

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