三菱重工パワーインダストリー POWER of Solution

アフターサービス

サイドエントリ型翼溝UT検査 ─ Tルート型で培った技術を改良し新手法を開発

  • facebookでシェア
  • ツイートする
  • LINEで送る
2025/12/15

蒸気タービンの長期運転では、部材の経年劣化をいかに早期に把握し、安全に稼働を継続できるかが重要です。そこで三菱重工パワーインダストリーは、これまでTルート型翼溝(よくこう)に対して実用化してきた超音波探傷(UT)技術をベースに、形状がより複雑なサイドエントリ型翼溝にも対応可能な検査手法を開発しました。 本記事では、『三菱重工パワーインダストリー技報 Vol.9(2025年)』に掲載の「サイドエントリ型翼溝UT検査」より、その概要を抜粋してご紹介します。

より詳しい技術解説をご覧になりたい方は、技報をダウンロードの上、ご確認ください。
ご覧いただくにはIDとパスワードが必要です。

経年劣化リスクに挑む ─ 翼溝部の健全性を“見える化”

蒸気タービンのロータ低圧段では、長期運転により応力腐食割れ(SCC:Stress Corrosion Cracking)が発生します。SCCが進行すると、動翼飛散などの重大事故を引き起こす可能性があるため、早期検出が極めて重要です。しかし、検査には翼を抜き取る必要があり、時間とコストの両面で大きな負担となっていました。
そこで三菱重工パワーインダストリーでは、動翼を抜き取らずに翼溝内部の状態を超音波探傷(UT)検査で行う技術を開発。Tルート型翼溝では既に実用化し、100件を超える検査実績を持ち、事故防止に大きく貢献してきました。

主な翼溝型式
主な翼溝型式

サイドエントリ型翼溝への適用 ─ 複雑形状に対応する高精度探傷

Tルート型翼溝で培ったフェイズドアレイUT技術をもとに、三菱重工パワーインダストリーはさらにサイドエントリ型翼溝にも適用可能な手法を開発。形状が複雑でエコー信号の識別が難しいサイドエントリ型にも対応できるよう、以下の改良を行いました。

1)超音波シミュレーションを活用したビーム周速範囲の最適設計
2)狭隙のディスク間に対応する小型・高性能センサーおよびスキャナを開発
3)UT検査データと3D-CADデータの重ね合わせ解析による識別精度の向上

モックアップおよび実機検証の結果、深さ0.7mm以上のSCCクラックや腐食ピットを識別可能であることを確認しました。

エコー識別性向上結果
エコー識別性向上結果

計画的な保守判断を支援 ─ 実機適用へ

今回の開発により、サイドエントリ型翼溝でもTルート型翼溝と同様に、動翼を抜き取ることなく翼溝内部の状態を評価できる環境が整いました。 
今後の定期点検や長期運用における保守計画の柔軟化・信頼性向上に活用していきます。 
 
『三菱重工パワーインダストリー技報 Vol.9(2025年)』に掲載の「サイドエントリ型翼溝UT検査」では、解析画像・評価結果なども掲載しています。ダウンロードの上、ぜひ全文をご覧ください。技報のダウンロードにはIDとパスワードが必要です。 

■会員登録がお済みでない方はこちら
■会員の方はこちら

技報ダウンロード

この記事に関連する三菱重工パワーインダストリーの技術情報(PDF)を無料でダウンロードいただけます。
※IDとパスワードが必要です。こちらのフォームからお申し込みください。

サイドエントリ型翼溝UT検査

アフターサービスの記事

ウェビナーはこちら
次回開催は1月下旬~2月上旬を予定