三菱重工パワーインダストリー POWER of Solution

【水素発電】三菱重工パワーインダストリーの水素焚きバーナーで、“水素の廉価普及を待たない選択”を! ―石炭焚きボイラーを天然ガス焚きに燃料転換し、将来の水素焚きに備える事が可能に―

2023/6/29

政府は、脱炭素化のためには水素などの非化石燃料への転換は不可欠な選択肢だと考えています。そのため、現在、製造コストが高く100円/N㎥では普及が難しい水素を2050年に20円/N㎥とすることを目標にしています。しかしカーボンニュートラル社会への実現は待ったなしです。当社では一刻も早い脱炭素化を目指して、天然ガス焚きバーナーとして使っても高性能を発揮する水素焚きバーナーを開発しました。その適用の典型的な5つの事例を紹介します。

産業用火力発電の現状・課題

日本の温室効果ガス排出量の約3割は製造業からのCO₂の排出です。製造業では電気だけではなく熱や蒸気が必要となるため、それらを得るために化石燃料を使ったボイラー・工業炉・加熱炉などが使用されており、これは製造プロセスにおける必須設備として今後も使い続けられるものです。
これらの設備は主に重化学工業分野の工場で使われていると考えられがちですが、例えばアルコール飲料工場での原材料乾燥や、飲料を加熱するプロセス用としても使用されています。

従って、製造業からのCO₂を根本的に減らすためには、水素などの非化石燃料への転換は不可欠な選択肢だと考えています。

更に、国内で水素の製造が拡大すれば輸入燃料に頼らないエネルギー供給が可能になり、安定供給や製造コスト低減にも結びつき日本の産業の競争力向上も実現できる可能性があります。

水素の利活用について

水素は脱炭素における非常に有力な非化石燃料ではありますが、製造コストが高く現状価格の100円/N㎥では普及は難しく、日本政府は2030年に30円/N㎥、2050年に20円/N㎥とすることを目標にしており、この政府目標通り20円/N㎥まで下がれば水素の利活用は拡大するものと予想されます。
製造業におけるボイラー・工業炉・加熱炉などが水素燃料に転換されれば低炭素から脱炭素に大きく進展することになりますが、果たしてその取り組みは2050年まで待たなくてはならないのでしょうか?

三菱重工パワーインダストリーの水素焚きバーナー

当社は脱炭素に向けた水素利活用に着目して、2020年度からNEDO助成事業を通じて水素焚きバーナーの開発に取り組み、水素の特性「単位体積当たりの発熱量が低い」「燃焼速度が速い」「火炎が不輝炎で見え難い」「発生NOxが高い」等の課題を克服し、壁面燃焼用センターファイアリング型・マルチスパッド型バーナー及び旋回燃焼用角型バーナーに適用できる燃焼技術を確立し、加熱炉及び全ての型式の小型・中型・大型水管ボイラー用バーナー、更にガスタービン排熱回収ボイラー(HRSG)追い焚き用バーナーの実用化に目途をつけました。

水素の廉価普及を待たずに今すぐ適用できる5つのケース

当社の水素焚きバーナーは、既に実用化実績がある天然ガス焚きバーナーをベースにして最適化したことにより、燃焼負荷の可変範囲が広いなどガス性状の燃料であれば水素との混合比率が0%~100%まで高性能を発揮するバーナーなので、今すぐに次のような典型的事例での適用が可能です。


ケース1:石炭/石油焚きボイラー・加熱炉

当社製バーナーで高性能の天然ガス焚きに転換して低炭素化をしておき、水素が廉価で普及し始めたら水素の混合比率を徐々に高めていき、最終的に水素100%燃焼として脱炭素化する。

ケース2:天然ガス焚きボイラー・加熱炉

燃料配管系統には大きな手を加えずに当社製バーナーに交換しておけば、ボイラーの高効率化による低炭素化、将来の水素への切り替えによる脱炭素化が極めてスムーズに進められる。

ケース3:天然ガス焚きガスタービン排熱回収(HRSG)ボイラーで追い焚きバーナー(ダクトバーナー)を使用

追い焚きバーナーで使われている天然ガス焚きバーナーを当社製バーナーに交換しておけば、将来ガスタービンが水素焚きに切り替わった時に、追い焚きバーナーを水素焚きに切り替えることができる。

ケース4:水素を生産プロセスで使用していると同時に、ボイラー・加熱炉に水素以外の燃料を使用

使用中のボイラー・加熱炉を当社製バーナーに交換すれば、生産プロセスの水素供給ラインの一部をボイラー・加熱炉につなぎ込むことによって、水素混焼から専焼までの利用範囲の拡大が可能。

ケース5:製鉄・石油・化学など生産プロセスの副生ガスとして水素を所持

既に何らかの方法で副生水素を活用されている場合でも、当社製バーナーを使用頂くことにより、現在の副生水素利用方法の簡素化ないし拡大が可能。

三菱重工パワーインダストリーの新型バーナー適用範囲 典型的事例

三菱重工パワーインダストリーの新型バーナー適用範囲 典型的事例
三菱重工パワーインダストリーの新型バーナー適用範囲 典型的事例

① 石油/石炭焚きボイラー・加熱炉をお使いのお客様
② 天然ガス焚きボイラー・加熱炉をお使いのお客様
③   天然ガス焚きガスタービン排熱回収(HSG)ボイラーで追い焚きバーナー(ダクトバーナー)をお使いのお客様
④   水素を生産プロセスで使用していて、同時にボイラー・加熱炉に水素以外の燃料をお使いのお客様
⑤ 製鉄・石油・化学など生産プロセスの副生ガスとして水素をお持ちのお客様

三菱重工パワーインダストリーが描く水素利活用典型的事例の拡大ロードマップ

三菱重工パワーインダストリーが描く水素利活用典型的事例の拡大ロードマップ
三菱重工パワーインダストリーが描く水素利活用典型的事例の拡大ロードマップ

産業用火力設備の脱炭素化に向けて

産業用熱・電供給火力設備は製品に合わせて殆どが個別・独自設計されており、設備規模、燃料、熱・蒸気・電気の発生量と利用方法が千差万別です。設備の低炭素化・脱炭素化のためには、コストメリットの試算を含む詳細にわたる分析と検討が必要となりますが、当社は産業用火力設備のスペシャリスト企業として対応が可能です。2030年や2050年の水素の廉価普及を待つ必要はありませんので、将来の水素利活用をお考えの場合はぜひお早めにお問い合わせ下さい。

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