三菱重工パワーインダストリー POWER of Solution

各種燃焼方式ボイラー用の水素焚きバーナーの開発~三菱重工パワーインダストリー技報Vol.7より

2024/12/18

化学工場等で生成される副生水素のボイラーでの利用や、化石燃料を水素燃料へ切り替えたり、水素を混焼したりするニーズが高まっています。 今回は三菱重工パワーインダストリー技報Vol.7(2022年発行)に掲載された、水素燃料を使ったボイラー用バーナーの開発について紹介します。カーボンニュートラル社会への移行を促進し、産業界の脱炭素化を加速させるとして大変注目されている技術開発です。

水素バーナーの開発目標

水素の燃焼には、以下の技術的な課題が挙げられます。

1,高い燃焼温度:水素の燃焼温度は非常に高いため、大気汚染物質であるNOxの排出量が増加するリスクがあります。

2,燃焼速度の大きさ:水素は他の燃料と比較して燃焼速度が大きいため、燃焼振動や逆火(火炎が逆流する現象)が発生する可能性があります。

高圧燃焼の必要性:水素はエネルギー密度が低いため、コンパクトな設備サイズで大量に使用するには、従来よりも高い圧力での供給が必要です。

水素バーナーの開発目標
水素バーナーの開発目標

3種類の水素焚きバーナーについて総括評価

このプロジェクトでは水素焚きM型バーナーおよびK型バーナーを開発して実証試験を行い、さらにC型バーナーを含めた3種類のバーナーについて総括評価しています。

各種バーナーの燃焼状況(水素専焼、900kPaG)
各種バーナーの燃焼状況(水素専焼、900kPaG)

C型バーナー(センターファイアリング型)
・シンプルな設計で燃焼が安定しやすい。

M型バーナー(マルチスパッド型)
・複数のガスノズルを配置することで大容量化を実現。

K型バーナー(矩形型)
・空気と燃料の混合をコントロールすることでNOxの排出を低減。

水素焚きバーナーの開発の成果

各バーナーを用いて、燃焼の安定性とNOx排出を確認する燃焼試験を行いました。その結果、以下の成果が確認されました。

各種バーナーのNOx特性比較評価結果
各種バーナーのNOx特性比較評価結果

M型、K型バーナーで大幅なNOx低減を実現。

NOx排出の低減:水噴霧や排ガスの再循環を組み合わせることで、NOx濃度を10ppm以下に抑えることに成功。 

高圧燃焼:80~900kPaGの範囲で安定した燃焼を実現。 

広い運転範囲:燃料流量を100分の1まで絞っても安定した燃焼を実現。

水素焚きバーナー実用化への展開

この技術は、火力発電用ボイラーや各工場の送気用ボイラーなど、さまざまな分野での応用が見込まれています。また石炭との混焼や水素ガスタービン後流に設置される排熱回収ボイラー (HRSG)への応用も進んでいます。

今回の技術開発レポートをご覧になりたい方は、以下から技報Vol.7をダウンロードしてご確認ください。また、水素焚きバーナーにご興味のある皆さまはぜひお気軽にお問い合せください 。

技報ダウンロード

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各種燃焼方式ポイラ用の水素焚きバーナの開発

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