脱炭素社会の実現に向けて、高効率な発電方式であるガスタービンコンバインドサイクル(GTCC)発電で用いる燃料を水素に転換すべく、水素焚きガスタービン(GT)の技術開発が進められている。同時に、GTCC発電システムに組み込まれるGT排ガス追い焚き用のダクトバーナについても、その燃料を水素に転換することも検討されており、高温・低酸素濃度雰囲気における水素燃焼技術の向上が急務となっている。
GTCC発電プラントは主にGT、HRSG(排熱回収ボイラ)、ST(蒸気タービン)、発電機から構成される。GTCC発電は、高温・低酸素濃度のGT排ガスをHRSGに導入、熱回収することで蒸気を発生し、その蒸気でSTを駆動・発電することにより、プラントの総合熱効率を向上させるシステムである。各製造工場に設置される自家発用GTCC発電設備では、HRSGで発生させた蒸気の一部、あるいはST通気後の蒸気を工場へ送気する設備構成としている場合がある。このとき、GT及びST運用負荷とは別に工場送気量を柔軟に運用することが求められ、HRSG発生蒸気量を増加するために排ガス追焚き用ダクトバーナを設置する場合がある。このようなGTCC発電システムの脱炭素化には、ダクトバーナにおける水素燃焼技術の確率が必要になる。
水素は炭化水素燃料と比較して単位体積当たりの発熱量が小さいため、所定の入熱量を得るためには大きな体積流量を必要とし、設備規模が大きくなるという特徴がある。これに対して当社では、設備への水素供給圧力を高めることで体積流量を低減し、設備のコンパクト化を実現する拡散燃焼ガスノズルの水素バーナを開発済みであり、天然ガス等の炭化水素燃料を用いた場合と同等の設備規模での水素導入が可能となっている。
今回、安全で優れた燃焼性能を有する拡散燃焼ガスノズルをダクトバーナへ適用し、幅広い運用条件にて水素及び炭化水素燃料を安定燃焼可能なダクトバーナを開発したので本稿にて紹介する。本ダクトバーナ適用により天然ガス専焼から水素専焼への将来的なカーボンニュートラル化の改造が低コストで達成可能となる。
技報 Vol.8 [2023] お客様とともにカーボンニュートラルを実現
HRSG向け水素焚きダクトバーナの開発
表紙写真:出光興産株式会社殿納 出光徳山バイオマス発電所
1. はじめに
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