三菱重工パワーインダストリー POWER of Solution

interview

教えて!スペシャリスト Vol.2 ~プラント運転・保守担当の疑問アレコレ~

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2023/9/29

長年プラントに関わり様々な知見を持つ三菱重工パワーインダストリーのスペシャリストがプラントにまつわるあらゆることに回答する「教えて!スペシャリスト」シリーズ。第二回の相談者は運転開始30年ボイラーの運転・保守管理歴20年の田中 祐介さん(仮名)。日々メンテナンスを行っている中で様々な不具合が発生するようになったとお困りです。計画外停止を回避するためにも、スペシャリストに相談したいといらっしゃいました。そこで今回はボイラー設計業務に従事するスペシャリスト永冨がズバッとお答えします。

ボイラーにトラブルはつきもの?どんな風に現れる?確認方法は?

Q1 運転開始から10年~30年のトラブルが多いと聞きますが、それはなぜなのでしょう?ボイラーという機器には避けられないことなのでしょうか?

永冨:機械設備の経年劣化は避けがたいのが現状です。ボイラーは燃料を高温で燃焼し高温の蒸気を発生する設備です。特に高温パーツの部位は長い時間過酷な環境に晒されますので、長期間運転を行うにつれて設備の劣化が進行しトラブルに繋がりやすくなります。メンテナンスや余寿命診断などはボイラーメーカーへ都度ご相談されることを推奨します。

Q2 経年によるボイラーの能力低下は、具体的にはどのように現れますか?確認方法も合わせて教えてください。

永冨:燃料消費量の増加、主蒸気温度および蒸発量の低下などによって現れます。燃料消費量に対する蒸発量の比を示す蒸発倍率が低下していないかは排ガス温度の上昇の有無によりおおよそ確認はできますが、さらに詳細な検査をすることで劣化要因が特定できます。

ボイラーの損傷メカニズムと予防方法、水質管理が重要なのはなぜ?

Q3 ボイラーの腐食、浸食、損傷のメカニズムと予防方法が知りたいです。

永冨:大きく分けて4つ。燃料成分に起因する管外面の腐食、起動発停が多い運用などに起因する熱疲労、過熱器管内部のスケール生成によるオーバーヒート、燃焼灰による外面摩耗などがあります。予防方法としては、燃料性状の管理、水質管理、運用の見直し、アッシュプロテクタの設置などが考えられます。

Q4 ボイラーに水質管理が重要なのはなぜでしょうか?

永冨:ボイラーの水質管理が不十分だった場合、ボイラー内部へのスケール付着が進行し、管のオーバーヒートの原因に繋がったり系統内が腐食したり、給水中の不純物により蒸気の質が低下しタービン機器に障害が起こることが考えられます。そこで事故を未然に防ぐために水質管理は非常に重要です。水質管理の相談やスケールの検査などはボイラーメーカーへご相談ください。

耐圧部損傷および非耐圧部損傷のメカニズムは?予防方法はある?

Q5 ボイラー耐圧部損傷の発生メカニズムと予防方法について教えてください。

永冨:Q3の内容に加えて、過負荷運転によるオーバーヒート、ドラム高水位による水滴のキャリーオーバーのための損傷、ドラム低水位による空焚きの水管損傷などが考えられます。予防のためには日常の運転データを監視することが第一となります。仮に上記の運転状態になった場合には、取扱説明書に基づき運転操作を行います。状況に応じてボイラーを停止し点検が必要になる場合もあります。

Q6 ボイラー非耐圧部損傷の発生メカニズムと予防方法について教えてください。

永冨:非耐圧部は経年劣化による損傷のケースが多いと考えます。ダクト変形や保温脱落、付着品金物の割れや変形、耐火材の脱落などが考えられます。計画停止時に各部の点検と補修を実施する必要がありますので、必要に応じてボイラーメーカーからの派遣を検討頂くことも適正な予防保全に繋がります。

運転・保守にお困りなら私達にお任せください

20年間プラントの運転・保守を担ってきたベテランの田中さんにも、まだまだ分からないこと、不安な事が多々ありました。最近は“頼れるおやじはもういない”と言われるなど、プラント現場で経験を積み重ねてきたベテランの方々が次々と退職され、知見や人材不足にお困りのプラント現場も多いのが実情です。そんな時にはぜひ三菱重工パワーインダストリーにお問い合わせください。弊社が設計したプラント以外であってもしっかり保守を行える仕組みがあります。安心・安全のプラント運用のためにいつでも三菱重工パワーインダストリーを頼っていただければと思います。

プロフィール

回答者:永冨

弊社ボイラー発電プラントのボイラー設計業務に従事するスペシャリスト
設計業務に25年間従事

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