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ウェビナーの中でいただいたご質問について回答を順次掲載しております。
皆さまの疑問解決の一助となりましたら幸いでございます。

【2023年2月27日開催ウェビナー】
産業ボイラ用水素焚きガスバーナの開発

質問一覧
技術

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  • 18(既存ボイラとの差別化・技術的な課題)①通常のLNGボイラとの差異 ②技術的な主要課題を教えてください。

    ①-1 ボイラ仕様は同様です。また、燃焼設備は、ガス供給圧力が同一であれば、水素は単位体積当たりの発熱量が低いため、配管サイズやバーナサイズは大型化します。一方、供給圧力を高圧化することで、LNGと同サイズの配管やバーナを適用できますので、LNG焚きとほぼ同等の仕様に対応可能です。
    ②-1 水素焚きの主要課題として、a.低発熱量に伴う供給圧力の高圧化、b.燃焼速度の速いことに伴う高NOxに対する低NOx化、c.燃焼速度の速いことによる燃焼振動の発生回避などがあります。なお、これらの課題は全て解決済です。
    ②-2 燃焼以外の点では排ガス中水分割合が高いなどの特性があり、その特性に応じた設備を計画する必要があります。

  • 19(既存ボイラとの差別化・技術的な課題)既存の燃料ボイラとの比較を教えてください。
    (エネルギーコスト、燃焼効率など)

    コストについては主に水素の価格に左右されます。国内では、水素価格を、現状100¥/Nm³に対して、2030年度に30¥/Nm³、2050年度に20¥/Nm³とし、既存の化石燃料と同等を目標とされています。
    水素の燃焼速度は速く燃焼性が良く、未燃損失が小さいため、燃焼効率は高いです。一方、燃焼排ガス中の水蒸気の持ち出し潜熱でHHVベースでのボイラ効率は低下します。なお、排ガス中の蒸発潜熱を回収する設備対応技術もあります。

  • 20(従来ガスバーナーとの比較)①水素焚きバーナーの他ガスバーナとの相違点 ②水素焚きの場合の他ガス焚き時のバーナー以外の仕様の相違点を教えてください。

    ①-1 水素は都市ガス等と比較して、燃焼速度が速く火炎温度が高いためNOxが高いという特性があり、低NOx化対策が必要です。
    ①-2 水素は単位体積当たりの発熱量が低いため、都市ガス等と同入熱の水素を供給する場合、配管径やバーナサイズが大きくなります。対策として、弊社バーナは水素供給圧力の高圧化を考慮しています。
    ②-1 燃焼システムとしての構成は基本的に都市ガス等と同等。なお、配管及び各機器の接合部等はリーク対策としてタイトシール構造にするなどの対策が必要です。

  • 21(NOx対策、臭気物)①NOx対策はどのようになっているのか、水素onlyで還元雰囲気を作り出せるのか
    従来のPMバーナやMACTと比較して同じレベルなのか
    ②燃料水素には検知用の臭気物が添加されるのか
    LNGなどと同じ添加物だとするとS分を含む。水素onlyの場合、排ガス中の水分濃度が上がると思う。
    ③AH出口ガス温度は現状のままでよいのか、それとも露点を避けるためにガス温度を上げる必要があるのか
    を教えてください。

    ①-1 水素で還元雰囲気を作り出すことは可能であり、NOx対策としては、二段燃焼、排ガス混合、水噴霧(蒸気噴霧)にて、東京都条例の60ppm以下を達成しています。 ※PMバーナやMACTは、弊社従来燃焼方式における低NOx技術です。
    ①-2 また、燃焼用空気の投入方法を工夫することで、水素焚きバーナ単体でも30ppm以下とする手法を実証済です。
    ②-1 現状では燃料水素への検知用臭気物は添加されていません。 ②-2 水素専焼時は排ガス中の水分濃度は上がります。 ③ 露点を避けるために排ガス性状に応じてガス温度を調整する必要があります。

  • 22(NOx対策、臭気物)定格容量増減・環境規制等への影響を教えてください。

    環境規制への影響としてNOxがありますが、混焼/専焼条件等を考慮した低NOx化対策で対応可能です。
    また定格容量軽減につきましては、ボイラ運用に応じた容量とする計画が可能です。

  • 23(水素使用量)水素の使用量(供給方法も含め)、ランニングコストを教えてください。

    例えば10t/hの蒸気を発生させるためには、約25,00Nm³/hの水素が必要です。またランニングコストについては、水素価格によります。

  • 24(水素使用量)水素バーナーの大型化、大体流量はどれくらい必要なのでしょうか。

    バーナ1本当たりの水素供給量として、最大10,000Nm³/h程度が目安となります。またスペースに応じて複数のバーナを設置するなど、使用量に応じた対応を計画します。

  • 25(水素使用量)水素焚きガスバーナが要求する水素の仕様、供給量について教えてください。

    本ガスバーナは、特にガスの燃料種は選びません。すなわち、水素専焼、水素混焼(混焼率:0~100%)で燃焼対応可能です。
    水素専焼時の水素供給は、50~10,000Nm³/h/台レベルです。

  • 26(安全性)水素噴射ノズル、バルブなどで流体漏れの苦労された事などございますでしょうか。

    ご指摘のように水素は分子量が小さくリーク対策が重要です。水素供給設備の接合部はタイトシール構造を採用しました。
    ノズル交換作業時は、水素リークセンサにてリークチェックを行いました。
    燃焼炉からのリークを防止する観点から、炉内圧を負圧にすると共に、燃焼炉上部及び煙道に水素検知器を設置して監視しました。

  • 27(安全性)実用化までの期間利用にあたっての注意事項、安全性評価を教えてください。

    水素のコストが低減するまでの経過対応として、一般ガス専焼→一般ガス/水素混焼→水素専焼等のステップが考えられます。
    水素は分子量が小さくリークしやすい性質があるため、配管及び各機器の接合部はタイトシール構造を採用します。また、万が一の漏洩に備えて、ボイラは屋外又は半屋外設置となるように考慮します。

  • 28(安全性)安全性を教えてください。

    水素は分子量が小さくリークしやすい性質があるため、配管及び各機器の接合部はタイトシール構造を採用します。また、万が一の漏洩に備えて、ボイラは屋外又は半屋外設置となるように考慮します。

  • 29(安全性)①水素は燃焼速度が速く、逆火が気になりますが、バーナーのターンダウン、特に下限側はどの程度まで下げられるのでしょうか。
    ②また、逆火に対する防止策等があればお教えください。

    ①ご指摘のように水素は燃焼速度が速く逆火のポテンシャルはありますが、燃焼方式として、燃料と燃焼用空気を分離供給する拡散燃焼方式を採用することで、逆火を抑制可能です。水素専焼であれば、弊社ノズルでバーナターンダウン1/100を確認しています。
    ②逆火対策としましては、上記しましたように、燃焼方式として拡散燃焼方式を採用することが重要です。

  • 30(水素とアンモニア)水素とアンモニアの動向。主流はどちらになるか教えてください。

    石炭焚きボイラの混焼用燃料としては、石炭と燃焼速度が同レベルで燃焼性が同等なアンモニアが、当面、コスト面、運搬・貯蔵面を含めて有利と考えられます。一方、アンモニアは燃料中にN分を含むため、フュエルNOxの抑制に工夫を要すること、また、臭気と腐食性を有するため取り扱いに注意を要します。
    インフラが整備され、水素の低コスト化が推進されれば、産業用ボイラを中心に、燃焼性に優れ、臭気や腐食性のない水素の方が主流になる可能性も考えられます。

  • 31(水素とアンモニア)アンモニア焚きガスバーナーとの比較(技術開発状況、優位性等)を教えてください。

    アンモニアとの比較について技術 - 30の回答をご参照ください。
    水素は技術 - 18に示す技術開発状況にあります。

  • 32(地域合成メタンとの比較)最も先行的に水素輸送体制が整備されていく地域合成メタンと比較しての競争力を教えてください。

    インフラが整備され水素のコストが低減するまでは、輸送面、貯蔵面で合成メタンの方が有利と思われます。但し、合成メタンは炭素を含んでいるため、燃焼で生成したCO2と水素でメタンを再合成または、CCSでの貯留が必要であり、将来的には水素の方が競争力を有すると考えられます。

  • 33(NOx対策、臭気物)水素圧力を900kPaに上昇されることによってNOxが低減するということですが、この場合 燃焼効率は変わらないと理解してよろしいでしょうか。

    記載頂いています通り、水素の供給圧力を高圧化しても燃焼効率は変わりません。

  • 34(既存ボイラとの差別化・技術的な課題)天然ガスから改造した場合のディレーティングはどの程度と考えればよろしいでしょうか。

    水素の単位体積当たりの発熱量は天然ガスの1/3以下と低いですが、水素を高圧供給し、天然ガスと同一入熱量の水素を供給することにより、既設配管及びバーナ本体を流用して、ディレーティングせずに、既設ボイラと同等の蒸発量を確保可能です。また、水素供給の高圧化が困難な場合は、配管他を改造(大径化)することで、ディレーティングせずに、既設ボイラと同等の蒸発量を確保可能です。

  • 35(既存ボイラへの適用(その他設備含む))従来のガスから水素ガスに変更するにあたって、配管系の材質の見直しは必要ないのでしょうか。

    適用範囲の圧力・温度条件では炭素鋼を適用しても、水素脆化の問題はなく、配管系の材質の見直しの必要はありません。

  • 36(NOx対策、臭気物)低ターンダウンでの水素圧がキープできないとすれば、NOx発生量は高くなりますでしょうか。

    低ターンダウンでは、水素供給圧力は下がりますが、火炉負荷も低下し、火炎温度は低減方向にシフトしますので、NOx発生量増加の心配はありません。

  • 37(従来ガスバーナーとの比較)1軸混焼の際の他ガスと水素の圧力は何KPaGになりますでしょうか。

    ウェビナーでご説明した試験では、水素/LPG混合ガスの供給圧力を、LPG専焼時のLPG供給圧力である80kPaGに合わせて実施しました。

※いただいたご質問の内、事業及び技術上の機微事項にあたるものについては、どのような質問があったかも含め、記載を差し控えておりますのでご理解賜りますようお願い申し上げます。 なお、具体的な事業構想・案件をお持ちの上でのご質問の場合には、お問い合わせフォームから個別にお問い合わせいただきますようお願い申し上げます。

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